在宅訪問を始めたばかりの薬剤師からよく聞かれる質問があります。
「事業対象者の場合は医療保険と介護保険のどちらで算定するんですか?」
実はこのケース、制度を知らないと間違えやすいポイントです。
なぜなら事業対象者は介護保険サービスを利用しているにもかかわらず、薬局の訪問指導は介護保険ではなく医療保険で算定するからです。
今回は事業対象者の基本と、薬局が押さえておきたい実務上のポイントを整理します。
事業対象者とは?
事業対象者とは、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の対象者です。
市町村が実施する「基本チェックリスト」により判定されます。
要介護認定を受けていなくても、
- 訪問型サービス
- 通所型サービス
- 介護予防事業
などを利用できる仕組みです。
高齢者のフレイル予防や生活支援を目的としており、「要支援認定を受ける前の段階」で利用されることが多い制度です。
事業対象者は介護保険利用者だが、薬局は介護保険算定できない
多くの薬剤師が混乱するのがここです。
事業対象者は介護保険サービスを利用しています。
そのため、
「介護保険利用者だから居宅療養管理指導費かな?」
と思いがちです。
しかし、居宅療養管理指導費を算定できるのは、
- 要支援1・2
- 要介護1〜5
の認定を受けている方です。
事業対象者は要支援・要介護認定を受けていません。
そのため薬局は、在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険)を算定します。
算定区分を整理
| 利用者区分 | 算定区分 |
|---|---|
| 認定なし | 在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険) |
| 事業対象者 | 在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険) |
| 要支援1・2 | 介護予防居宅療養管理指導費(介護保険) |
| 要介護1〜5 | 居宅療養管理指導費(介護保険) |
非常にシンプルですが、現場では意外と見落とされます。
初回訪問で必ず確認したいこと
在宅依頼を受けた際は、「介護サービスを利用している」だけで判断しないことが重要です。
確認すべきなのは、
- 要介護認定の有無
- 要支援認定の有無
- 被保険者証の記載内容
- 事業対象者の記載有無
- 担当ケアマネジャーの有無
です。
特に新規依頼時には、
「介護保険を利用されていますか?」
ではなく、
「要支援・要介護認定は受けていますか?」
と確認する方が確実です。
薬局だからこそ見つけられる事業対象者
事業対象者制度は算定だけの話ではありません。
薬局は、
- 飲み忘れが増えてきた
- 転倒が増えた
- 血圧管理が不十分
- 体重が減ってきた
- 外出機会が減った
といった変化を早期に発見できる職種です。
こうした方は将来的に介護が必要になるリスクを抱えている可能性があります。
地域包括支援センターへ相談することで、事業対象者として支援につながるケースもあります。
まとめ
事業対象者は介護保険サービス利用者ですが、要支援・要介護認定を受けているわけではありません。
そのため薬局の訪問指導は、居宅療養管理指導費(介護保険)ではなく、在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険)を算定します。
在宅業務では、「介護サービス利用中=介護保険算定」と考えず、まずは認定区分を確認する習慣をつけることが大切です。
事業対象者は制度上の位置づけが少し特殊だからこそ、初回訪問時にしっかり確認しておきたいですね。
これからも、在宅医療に取り組む薬剤師にとって有意義な情報を届けていこうと思います。
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