介護保険の居宅療養管理指導費には、地域の特性に応じて算定できる地域加算があります。
その一つが「中山間地域等小規模事業所加算」です。
都市部と比べて人口が少なく、交通事情が悪い地域では、訪問件数が少なくても事業所を維持する必要があります。このような地域で在宅医療を支える小規模事業所を評価するために設けられた加算です。
本記事では、中山間地域等小規模事業所加算の概要や算定要件、対象地域、特別地域加算との違いについて解説します。
中山間地域等小規模事業所加算とは
中山間地域等小規模事業所加算とは、中山間地域等に所在する小規模事業所が、介護サービスの提供体制を維持していることを評価する加算です。
薬局では、居宅療養管理指導費および介護予防居宅療養管理指導費で算定できます。
加算率
所定単位数の10%を加算
例えば、居宅療養管理指導費が518単位の場合は、
518単位 × 10% = 約52単位
が加算されます。
算定要件
算定するためには、次の要件を満たす必要があります。
- 厚生労働大臣が定める中山間地域等に事業所が所在していること
- 特別地域加算の対象地域ではないこと
- 介護報酬の級地区分が**「その他(1単位=10円)」**の地域であること
- 都道府県へ施設基準の届出を行っていること
- 小規模事業所の基準を満たしていること
小規模事業所の基準
延べ訪問回数が次の基準以下であることが必要です。
居宅療養管理指導:1か月当たり延べ訪問回数50回以下
介護予防居宅療養管理指導:1か月当たり延べ訪問回数5回以下
訪問件数がこの基準を超える場合は算定できません。
対象となる中山間地域等
対象となる地域区分には、次のようなものがあります。
- 豪雪地帯
- 特別豪雪地帯
- 辺地
- 半島振興対策実施地域
- 特定農山村地域
- 過疎地域
ただし、これらの地域すべてが対象となるわけではありません。実際に対象となるのは、厚生労働大臣が定める中山間地域等に限られます。
対象地域はこちらをご確認ください。
さらに、中山間地域等小規模事業所加算を算定するためには、介護報酬の級地区分が「その他(1単位=10円)」である地域であることが必要です。
級地区分とは?
級地区分とは、地域ごとの人件費の違いを介護報酬に反映するための区分です。
地域は「1級地」から「7級地」、そして「その他」に区分されており、「その他」は1単位=10円で計算されます。
中山間地域等小規模事業所加算は、この「その他」に区分される地域のみが対象です。そのため、薬局が中山間地域等に所在していても、級地区分が1~7級地の場合は算定できません。
級地区分についてはこちらを参考にしてください。
薬局所在地で判断される
この加算は、薬局(事業所)の所在地で判断します。
例えば、
薬局:中山間地域等
利用者:市街地
であれば算定できます。
一方、
薬局:市街地
利用者:中山間地域等
では算定できません。
利用者の住所ではなく、薬局がどこに所在しているかがポイントです。
特別地域加算との違い
混同されやすいのが特別地域加算です。
| 項目 | 中山間地域等小規模事業所加算 | 特別地域加算 |
|---|---|---|
| 加算率 | 10% | 15% |
| 対象地域 | 中山間地域等で特別地域以外 | 特別地域 |
| 小規模要件 | あり | なし |
| 級地区分 | その他(1単位=10円)の地域 | 制限なし |
| 届出 | 必要 | 必要 |
特別地域加算の対象地域では、中山間地域等小規模事業所加算は算定できません。
中山間地域等居住者サービス提供加算との違い
もう一つ似た加算として中山間地域等居住者サービス提供加算があります。
こちらは考え方が異なります。
| 中山間地域等小規模事業所加算 | 中山間地域等居住者サービス提供加算 |
|---|---|
| 薬局の所在地を評価 | 利用者の居住地を評価 |
| 小規模事業所が対象 | 通常の事業実施地域を越えて訪問した場合が対象 |
| 加算率10% | 加算率5% |
名前は似ていますが、評価している対象が異なるため注意が必要です。
算定時のチェックポイント
算定前に次の項目を確認しましょう。
☑ 薬局は厚生労働大臣が定める中山間地域等に所在しているか
☑ 特別地域加算の対象地域ではないか
☑ 級地区分は「その他(1単位=10円)」か
☑ 延べ訪問回数は50回以下か
☑ 都道府県へ施設基準の届出を行っているか
まとめ
中山間地域等小規模事業所加算は、中山間地域等で介護サービスを提供する小規模薬局を評価する制度です。
ポイントを整理すると、
- 居宅療養管理指導費・介護予防居宅療養管理指導費で算定できる
- 所定単位数の10%を加算
- 薬局所在地が厚生労働大臣の定める中山間地域等であること
- 特別地域加算の対象地域ではないこと
- 介護報酬の級地区分が「その他(1単位=10円)」であること
- 延べ訪問回数50回以下の小規模事業所であること
- 施設基準の届出が必要
特別地域加算や中山間地域等居住者サービス提供加算とは対象や要件が異なるため、それぞれの違いを理解したうえで適切に算定することが重要です。
これからも、在宅医療に取り組む薬剤師にとって有意義な情報を届けていこうと思います。
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参考資料
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域」
- 介護報酬の解釈(令和8年度版)

