介護保険の居宅療養管理指導費には、地域の特性に応じて算定できる地域加算があります。
その中でも今回は「特別地域加算」について解説します。
中山間地域等小規模事業所加算や中山間地域等居住者サービス提供加算との違いもあわせて紹介します。
特別地域加算とは
特別地域加算とは、介護サービスの提供体制の確保が著しく困難な地域に所在する事業所を評価するための加算です。
人口が少ない、離島である、交通事情が悪いなどの理由により、都市部と同じようなサービス提供が困難な地域では、事業所の運営負担が大きくなります。
そのため、このような地域で継続して介護サービスを提供している事業所を評価する目的で設けられています。
薬局では、居宅療養管理指導費および介護予防居宅療養管理指導費で算定できます。
加算率
所定単位数の15%を加算
例えば居宅療養管理指導費が518単位の場合は、
518単位 × 15% = 約78単位
が加算されます。
算定要件
算定するためには、次の要件を満たす必要があります。
- 厚生労働大臣が定める特別地域に事業所が所在していること
- 都道府県へ施設基準の届出を行っていること
- 居宅療養管理指導(介護予防を含む)を実施していること
特別地域とは
厚生労働大臣が定める特別地域には、主に次のような地域があります。
- 離島振興対策実施地域
- 奄美群島
- 小笠原諸島
- 沖縄離島
- 振興山村
- 豪雪地帯・辺地・過疎地域などのうち、人口密度が低く交通事情が悪いなどの理由により、介護サービスの確保が著しく困難であるとして厚生労働大臣が定める地域
なお、豪雪地帯や過疎地域であっても、すべてが特別地域になるわけではありません。
厚生労働大臣が定めた地域のみが対象となります。
厚生労働大臣が定めた地域についてはこちらよりご確認ください。
届出が必要
特別地域加算は自動で算定できるものではありません。
事前に都道府県へ施設基準の届出が必要です。
届出をしていない場合は算定できません。
利用者が特別地域に住んでいるだけでは算定できない
よくある誤解ですが、
利用者の住所ではなく、薬局(事業所)の所在地で判断します。
例えば
薬局:金沢市
利用者:白山市尾添などの特別地域
この場合は、特別地域加算は算定できません。
一方、
薬局:白山市尾添などの特別地域
利用者:近隣住民
であれば、特別地域加算の対象となります。
中山間地域等小規模事業所加算との違い
混同されやすい加算ですが、対象が異なります。
| 項目 | 特別地域加算 | 中山間地域等小規模事業所加算 |
|---|---|---|
| 加算率 | 15% | 10% |
| 対象 | 特別地域 | 中山間地域等(特別地域を除く) |
| 小規模要件 | なし | 月の延べ訪問回数50回以下 |
| 級地区分 | 制限なし | 「その他」のみ |
| 届出 | 必要 | 必要 |
つまり、
特別地域加算は「特別地域そのもの」を評価する加算
一方、
中山間地域等小規模事業所加算は「中山間地域等にある小規模事業所」を評価する加算
という違いがあります。
中山間地域等居住者サービス提供加算との違い
こちらはさらに考え方が異なります。
特別地域加算は薬局の所在地を評価する加算ですが、
中山間地域等居住者サービス提供加算は
利用者の居住地を評価する加算です。
つまり、
- 特別地域加算 → 薬局がどこにあるか
- 中山間地域等居住者サービス提供加算 → 利用者がどこに住んでいるか
という違いがあります。
まとめ
特別地域加算は、介護サービスの提供が困難な地域で事業を継続する事業所を支援するための制度です。
ポイントを整理すると、
- 居宅療養管理指導費・介護予防居宅療養管理指導費で算定可能
- 所定単位数の15%を加算
- 薬局(事業所)の所在地で判定する
- 厚生労働大臣が定める特別地域が対象
- 施設基準の届出が必要
- 中山間地域等小規模事業所加算とは対象地域や要件が異なる
地域加算は「特別地域加算」「中山間地域等小規模事業所加算」「中山間地域等居住者サービス提供加算」の3つがあり、それぞれ評価する対象や要件が異なります。算定漏れや誤算定を防ぐためにも、それぞれの違いを正しく理解しておくことが重要です。
これからも、在宅医療に取り組む薬剤師にとって有意義な情報を届けていこうと思います。
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参考資料
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域」
- 介護報酬の解釈(令和8年度版)


