新規在宅患者さんを受け入れるときの流れや確認事項を総まとめ!!
外来で来てくれていた患者さんがある日家族が代理で来るようになった。
自分で来ることが難しくなり、これから家族が付き添うことになったとのこと。
気になって家に行ってみると飲み忘れが多くなっている。
このような場合などで在宅訪問の必要性を感じますね。
他にも在宅医や訪問看護師、ケアマネジャーなどの他職種から依頼が来ることもあります。
全ての場合で共通して、やるべきことや確認事項をまとめました。
この記事を読めば在宅患者さんを受け入れる際に確認すべきことと行う一連の流れを理解できます。
特に在宅医療の経験が少ない薬局にとっては必要なことを全て記載してあるので、是非読んで頂きたいです。
チェック事項から紹介します。
- 通院困難であることを確認
- 介護保険の有無を確認
- ケアマネジャーに連絡(介護保険の場合)
- 医師の訪問指示をもらう
- 契約と説明
- 計画書を作成
- 訪問して訪問指導料算定
- 報告書作成
順番通りに行うことを推奨しますが、⑦~⑧以外、順番は入れ替わっても問題ありません!
ただし、①は早めにしておくことを推奨します。
他職種や患者への説明や共有を全てしてから、通院困難に該当しないことが判明したら台無しですからね。
個別に解説していきます。
通院困難であることを確認
まずは通院困難であることが在宅訪問する上での大前提になっています。
これは真っ先に確認するようにしましょう。
ところで「通院困難」ってなんでしょう?
区分 15 在宅患者訪問薬剤管理指導料
1 在宅患者訪問薬剤管理指導料
(1) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、あらかじめ名称、所在地、開設者の氏名及び在宅患者訪問薬剤管理指導(以下「訪問薬剤管理指導」という。)を行う旨を地方厚生(支)局長に届け出た保険薬局の薬剤師が、医師の指示に基づき、薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況、薬剤保管状況及び残薬の有無の確認等の薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。在宅患者訪問薬剤管理指導料は、定期的に訪問して訪問薬剤管理指導を行った場合の評価であり、継続的な訪問薬剤管理指導の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない。例えば、少なくとも独歩で家族又は介助者等の助けを借りずに来局ができる者等は、来局が容易であると考えられるため、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について,令和2年3月5日,保医発0305第1号別添3
「少なくとも独歩で家族又は介助者等の助けを借りずに来局ができる者」は該当しないとなっています。
逆に言うと「自分一人で通院が難しい場合」、「家族等の介助付きで通院している場合」は該当します。
要件は「通院不可」ではなく「通院困難」です。
外来通院している場合に算定できないと勘違いされることがありますが、一概に言えないので、きちんと確認しましょう。
「訪問診療の有無」要件にはなっていません。
介護保険の有無を確認
医療保険を使うか、介護保険を使うか判断するために介護保険の有無を確認しましょう。
介護保険の認定を受けていれば、介護保険(居宅療養管理指導費)が優先になります。
認定受けていない場合は、医療保険となります。
介護保険は申請中の場合でも申請日に遡って利用可能なので、間違って医療保険で算定しないようにしましょう。
また、介入当時に介護保険の利用がなくても、途中で認定されることがあるので、継続して確認するようにしましょう。
知らないうちに認定されていて、返戻されることがあります。
以下の記事を参考にしてください。
ケアマネジャーに連絡(介護保険の場合)
介護保険の認定を受けている場合、ケアマネジャー(介護支援専門員)に連絡しましょう。
ケアマネジャーは介護保険利用者に合わせた介護サービス計画を作成し、関連するサービス提供者との連携を図るとともに、適切な介護サービスの提供や運用をサポートする役割を担います。
報告書は医師だけではなく、ケアマネジャーにも送付することがあります。
要介護度に応じて限度額が決められており、ケアマネジャーはそれにおさまるように調整しています。
薬剤師の訪問を行うことを連絡した際に「限度額いっぱいなので他のサービスを入れる余裕がないです」と言われることが稀に言われることがあります。
その際には居宅療養管理指導費は限度額に含まれないことを説明しましょう。
介護保険制度については以下の記事も参考にしてください。
医師の訪問指示をもらう
続いて医師から指示をもらいます。
これは在宅訪問を行う上で必須になります。
訪問指示の形式には以下の3つがあります。
- 口頭指示
- 訪問指示書など文書によるもの
- 処方箋の備考欄への記載
このうち最もオススメなのは「処方箋の備考欄への記載」です。
主治医に連絡し、薬剤師の訪問の必要性を説明した上で、「処方箋の備考欄に訪問指示と記載してください」という内容を伝えましょう。
理由について詳細は以下の記事を参考にしてください。
契約と説明
続いて患者や家族に対する契約と説明を行います。
介護保険では契約書が必須となりますが、医療保険でも書面で説明しておくことを推奨します。
介護保険サービスは基本的に全て利用者との契約が必要となっており、それによりサービスを明確に理解して、不利益を回避することが出来ます。
契約時には「契約書」と「重要事項説明書」を取り交わすことが一般的です。
重要事項説明書は契約書の内容を補完する役割があります。
全て契約書に記載しても構いませんが、分けていることが一般的です。
契約書と重要事項説明書については以下の記事を参考にしてください。
契約書と重要事項説明書の雛形ダウンロード可能です。
計画書を作成
訪問前に計画書(薬学的管理計画)を作成しましょう。
医療保険でも介護保険でも事前に計画を立てておくことが、それぞれの訪問指導料 (在宅患者訪問薬剤管理指導料・居宅療養管理指導費) を算定する上での前提要件となります。
計画書を作成したら、医師やケアマネジャーに共有しておきましょう。
記載すべき事項は以下の通りです。
- 実施すべき指導の内容
- 患家への訪問回数・訪問間隔
- 疾患名 (推奨)
- 在宅療養を担う保険医療機関の保険医と連携する他の保険医
詳細については以下の記事を参考にしてください。
こちらもひな形をダウンロード可能です。
訪問して訪問指導料算定
ここまで事前準備をしてから訪問指導を行い、ようやく指導料が算定可能となります。
計画通りに処方が出て訪問し、適切な指導を行った場合は在宅患者訪問薬剤管理指導料や居宅療養管理指導費を算定しましょう。
一方で計画外に処方が出て緊急的に訪問した場合は在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定することになります。
さらに、もともと訪問計画となっていた対象疾患かどうかで1(500点) か2 (200点) のどちらを算定するか変わってきます。
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の詳細については以下の記事を参考にしてください。
報告書作成
訪問後には報告書を作成しなければなりません。
これは医療保険・介護保険どちらを利用した際にも同じです。
送り先は医師にはどちらも必須、介護保険ではケアマネジャーにも送付することが義務付けられています。
もちろん訪問看護師など関係する多職種にも必要に応じて報告書を送るなど、情報共有しておくことが重要です。
また、様式については規定はありません。
まとめ
今回の記事では薬局から提案して、在宅医療に介入するケースでの一連の流れを紹介しました。
実際には医師やケアマネジャーなどから依頼が来ることが多いですが、それらのケースにおいても今回の記事で十分対応できます。
参考になれば幸いです。
以下、まとめ資料を掲載しておきます。チェックリストとしてご活用ください!
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