在宅医療の分野に取り組む薬局薬剤師にとって、そのやりがいは一筋縄では語り尽くせないものがあります。
感謝の言葉や患者・家族とのコミュニケーション、多職種連携・協働、治療成果や安心感の実感、そして自己成長・専門性の発揮・・・
これらの要素が、在宅医療の現場で薬剤師たちにもたらす喜びや充実感は計り知れません。
そこで、この記事では薬局薬剤師が在宅医療に挑む意義や展望を紹介し、彼らが抱えるやりがいについて探っていきます。
Twitterで在宅医療に関わっている薬剤師さんにアンケートさせて頂いたのでその結果を踏まえた内容になっています。
ゆるーく募集します!
【薬剤師の在宅医療のやりがい】
皆さんが思う在宅医療やってて良かったなー、楽しいなーということ教えてください👀色々意見もらえれば厳選してまとめます👍
— タイガー薬剤師@在宅緩和医療について発信 (@PharmacistTiger) May 19, 2023
今回は回答して頂いたものから一部抜粋して紹介します。
さらに、将来のキャリアや社会貢献の可能性にも触れながら、在宅医療のやりがいと未来への期待を考えてみましょう。
在宅医療のフロンティアで活躍する薬局薬剤師の皆さんへのヒントやインスピレーションとなることでしょう。
さあ、在宅医療の魅力に迫り、その可能性を探っていきましょう!
在宅医療のやりがい5選
早速ですが在宅医療のやりがい5選です!
- 感謝の言葉
- 患者・家族とのコミュニケーション
- 多職種連携・協働
- 治療成果や安心感の実感
- 自己成長・専門性の発揮
これらについて各項目ごとに解説していきます。
感謝の言葉
外来でももちろん感謝の言葉はありますが、在宅医療で頂くそれは格別なものです。
亡くなった患者さんのご家族から
「今まで本当にありがとうございました」
患者さんからの言葉ではありませんが、これは本当にやりがいを感じます。
自宅で最期を迎える方にも関わることになります。
期間に限らず終末期に関わることは非常に大変なので、家族から最後に感謝の言葉を頂くとやってきて良かったなと心から思います。
直接的な感謝の言葉ではありませんが、「やっぱり病院より家が良いね」
終末期でも最期を過ごす療養場所として自宅を希望する患者さんは多いです。
家で過ごしたいと思う患者さんの希望に寄り添い、支援していくことはやりがいに繋がっています。
患者・家族とのコミュニケーション
患者さんやそのご家族とのコミュニケーションも非常にやりがいがあります。
自宅で過ごしたいと思う理由には家族と一緒に過ごしたいという思いもあります。
小さいお子さんと過ごしておられるのであれば、その成長を近くで見られることも患者さんにとってはかけがえのない楽しみです。
そんな患者さんと小さいお子さんとのやり取りを眺めているだけでもほっこりして、多忙で疲れていても癒されるのかもしれません。
外来でも同じかもしれませんが、担当として名前を憶えてもらえることは嬉しいですね。
「〇〇薬局さん」や「薬剤師さん」ではなく名前で呼ばれると信頼関係も築いていけます。
深く関わるからこそ、お亡くなりになった際の悲しみも大きくなります。
関わった患者さんの死で涙するところまで精一杯親身になれる薬剤師は限られています。
残された時間が短い患者さんにこそ、1回1回の訪問で出来ることを最大限に考える。
これも在宅医療のやりがいです。
多職種連携・協働
外来だけでは事務さんと話したり、ときどき電話で医療機関の医師や看護師と話すくらいになりますが、在宅医療では多職種との直接的な連携が多くなります。
医師や看護師をはじめ、ケアマネ、ヘルパー、理学療法士など多くの職種と顔を合わせて話し合い、患者・利用者の生活を継続できるように協働して支援していくことになります。
全てのことを全職種でするわけではなく、それぞれの職種の得意分野を活かしながら患者さんの生活に混ぜてもらう。
このような感覚は在宅医療特有ですね。
しっかりと各職種の得意・不得意を理解することで協働していくというチーム医療に関わることが出来ることも在宅医療の醍醐味です。
この経験には在宅医療の醍醐味が詰まっています。
まずはターミナルの患者さんがお子さんの運動会を見に行くということは、入院していては当然叶わないことですし、病状を考えると無理と言われることもあるかもしれません。
そのような状況の中で多職種が協力して患者さんの希望を叶えるということは在宅医療をやっていて良かったと強く感じる経験ではないでしょうか。
運動会参加後の急変でも多職種で連携し夜間緊急対応して、命を繋げるということは大変ではありますが、在宅医療のやりがいですね。
カバヘイさんは災害医療にも携わっており、このような場面でこそ、よりやりがいを感じられるようです。
緊急時の点数や麻薬管理指導加算については他の記事で紹介しています。
治療成果や安心感の実感
外来ではなかなか介入後どうなったのかのフォローまですることは難しいですが、在宅医療では経過を追うことが出来るので、自分の介入の成果を感じやすいこともやりがいの1つです。
こちらも皆さんからの回答を参考に見ていきます。
開始時には何かしらの問題や課題を抱えているケースがあります。
特にケアマネからの依頼ではその傾向が強いかもしれません。
そのような患者さんに対して介入を行い、結果に結びつけることが出来たことを実感できるのは在宅医療ならではですね。
薬学的な提案ももちろんですが、生活に配慮した提案をすることが出来るとより一層患者さんに寄り添った対応となりますね。
こちらは薬学的な提案を行い、患者の体調改善を実感されたケースです。
医師とのコミュニケーションもしっかり出来ていれば提案のしやすさも在宅医療の特徴と言えます。
その提案の結果を実感するとやってて良かったと感じることができます。
患者との信頼関係のもと、「あなたが言うならそうする」と言ってもらえることもとてもやりがいとなりますね。
経験年数なんて関係なく、親身に寄り添うことでコンプライアンス改善に貢献できます。
自己成長・専門性の発揮
最後に自己成長・専門性の発揮もやりがいの1つです。
多職種連携にも分類されるかもしれませんが、後半部分の「鋭い質問が来て答えられないときなど自分の弱みを発見し成長できます」が素晴らしいマインドですね。
多職種から質問を受けることが多く、これまでの知識だけでは追いつかないこともあります。
そのような際に勉強し、解決していく機会が多いことをやりがいと感じることが出来ます。
全て知っている人など存在しないので、分からないから在宅医療はしないではなく、調べながら在宅医療に関わっていくスタンスが大事です。
自分自身を成長させることが出来る機会が多いです。
「薬剤師としての本文を全うしやすい」
外来では情報源は限られているため、(言い訳にすべきではありませんが)介入しづらいこともあります。
在宅医療では多くの情報を得ることが出来るので、薬剤師としての専門性を発揮しやすい環境でもあります。
ここでは出てきておりませんが、医療用麻薬に関わることも多く、緩和薬物療法認定薬剤師などの認定を取得することが出来たり、PCAポンプなど外来とは異なったスキルを身に着けられることも自己成長というやりがいになります。
PCAについては他の記事でも紹介しています。
結論
在宅医療のやりがいを通じての自己成長や専門性の発揮は、将来のキャリアにもプラスとなる
在宅医療の需要の増加により、薬局薬剤師の在宅訪問業務は今後も重要性が高まっています。
大変なことが多い中でもやりがいを見出していくと、積極的に関わることができるのではないでしょうか。
特に若手~中堅薬局薬剤師が在宅医療に取り組むことで、新たなスキルや経験を積み、成長の機会を得られます。
そして在宅医療のやりがいを理解し、その魅力を伝えることで、さらなる人材の確保や在宅医療の推進に貢献できます。
まとめ
今回は在宅医療のやりがいについて紹介しました。
ちなみに私の在宅医療のやりがいは生まれ育った地域の方々の依頼を受けて、関わることです。
知っている人の生活に関わることは、より一層頑張ろうと思えます。
また、今回の記事では触れていませんが、調剤報酬においても在宅医療はこれから評価されていく分野だと考えられます。
今から在宅医療に関わっていることは将来への投資とも考えることが出来ます。
このブログを通して、多くの薬剤師に在宅医療のやりがいを知ってもらい、取り組む人が増えることで、それぞれの地域医療に貢献できることを祈っています。
Twitterで回答して頂いたものは全て紹介しきれませんでしたので、是非直接ご覧ください。
これから在宅医療に関わっていく方たちの励みになると良いなと思います。
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