令和6年度調剤報酬改定では地域支援体制加算の要件が大きく変更されております。
特に区分1・2について大幅に変更となり、OTC医薬品や緊急避妊薬についても記載されるようになりました。
施設基準(1)で在宅の項目を必須となるのは地域支援体制加算3を算定する場合のみとなり、それにより地域支援体制加算1・2・4は在宅はなくても良くなったと思っていませんか?
結論から言うと回数などの違いはありますが、必須です!
上記の要件は地域支援体制加算の施設基準(1)~(12)のうち(1)の要件になります。
その他の基準で記載されているので、以下で解説します。
施設基準 (1)
施設基準(1)では区分1~4それぞれにおける要件が記載されています。
この実績を満たすことが地域支援体制加算の最大の難関とも言えるので、多くの方が注目している部分になります。
「地域支援体制加算1」の施設基準(1)要件として従来まで在宅医療の実績が求められていましたが、削除されています。
改定後 | 現行 |
(削除) |
【地域支援体制加算1】 |
地域支援体制加算2についても上記のように現行制度では施設基準(1)で在宅医療の実績24回/薬局は求められていましたが、同様に削除されています。
必須要件として求められているのは「地域支援体制加算3」を算定する場合のみです。
ウ 地域支援体制加算3
(イ) 調剤基本料1以外を算定している保険薬局において、地域医療への貢献に係る十分な実績として、以下の①から⑩までの10の要件のうち、④及び⑦を含む3項目以上を満たすこと。この場合において、この場合において、アの(ロ)から(ホ)までに準じて取り扱う。
④・・・かかりつけ薬剤師指導料 40回/受付1万回
⑦・・・在宅訪問指導料 (個人在宅) 24回/受付1万回
ここだけを見れば確かに (地域支援体制加算3以外では) 「在宅医療の実績は必要なくなった!」と感じられるかもしれません。
しかし!施設基準はまだ(2)~(12) の続きがあります。
注目すべきは施設基準 (4)
今回の地域支援体制加算の要件項目としてOTC医薬品の48薬効群の取扱いや緊急避妊薬の備蓄など注目されるところが増えており、見逃されやすいかもしれませんが、在宅医療についての項目も増えています。
それが施設基準 (4) です!
改定後 | 現行 |
【地域支援体制加算】 (4) 在宅医療を行うための関係者との連携等の体制として以下を満たすこと。 |
新設 |
施設基 (1) で削除されていたはずの在宅医療24回/薬局の実績がこちらに移っています。
ここについては区分によらず対象となるため、地域支援体制加算を算定するためには要件を満たす必要があります。
したがって、在宅医療の実績24回/薬局は必須要件です。
在宅医療の要件 必須と選択の違い
施設基準として全ての薬局に在宅医療の実績を求めるのなら、必然的に施設基準1 (1) の10項目あるうち在宅医療は結局必須なんじゃないかと思われがちですが、以下のように異なります。
施設基準 (1) | 施設基準 (4) | |
必要な件数 | 処方箋受付1万回あたり24回 | 保険薬局あたり24回 |
単一建物居住者 | 1人の場合のみ | 1人、2~9人、10人以上すべて含む |
必須/選択 | 地域支援体制加算3のみ必須 | 全ての区分で必須 |
施設基準 (1) で在宅医療の項目を満たすためには処方箋受付1万回あたり個人在宅の実績が24回以上必要となります。
こちらには単一建物居住者2~9人、10人以上を算定している場合は該当しないため、実績数に含むことは出来ません。
個人在宅の扱いになる特例などもあるので、以下の記事から施設人数の考え方を参考にしてください。
一方、全ての区分で必須項目となっている施設基準 (4) では受付回数によらず24回であり、指導料の単一建物居住者人数については問われません。
とにかく居宅療養管理指導費や在宅患者訪問薬剤管理指導料などの算定実績があればOKとなります。
まとめ
調剤報酬改定後も在宅医療に関する実績については引き続き必須となっています。
ただし、全ての区分で必要な実績と、10項目で必要とされている実績とでは訪問指導料の単一建物居住者人数や分母となるものが異なるの注意が必要ですね。
この改定からも分かるように在宅医療については全ての薬局で必要な取り組みとされています!
他の項目についても在宅については手厚い改定となっております。
これからも、在宅医療に取り組む薬剤師にとって有意義な情報を届けていこうと思います。
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