令和6年度調剤報酬改定において新設された「在宅薬学総合体制加算」ですが、令和8年度にはさらに高く評価されています。
他の改定項目についてはこちらを参考にしてください。
点数が大きく上がりましたが、要件が厳しくなっています。これまでは設備ではなく実績が必要とされるようになります。医療用麻薬の供給や無菌調剤または小児在宅への取り組みが評価されています。
在宅薬学総合体制加算1 15点 30点
在宅薬学総合体制加算2 50点 イ 100点 / ロ 50点
算定要件
在宅薬学総合体制加算は、在宅患者に対する薬学的管理及び指導を行うにつき必要な体制を評価するものであり、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料若しくは在宅患者緊急時等共同指導料又は介護保険における居宅療養管理指導費若しくは介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者等が提出する処方箋を受け付けて調剤を行った場合に算定できる。ただし、「区分15在宅患者訪問薬剤管理指導料」の(4)において規定する在宅協力薬局が処方箋を受け付けて調剤を行った場合は、この限りでない。
全ての処方せんではなく、在宅患者の処方箋を受け付けた場合のみ調剤基本料に加算することが出来ます。
施設基準
【1の施設基準】
- 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出
- 直近の在宅訪問算定実績
2448 回以上(単一建物人数については記載なし) - 開局時間外でも緊急時の対応可能
- 緊急対応できる旨の周知
- 在宅医療に関する研修計画と実施
- 医療材料、衛生材料の供給体制
- 麻薬小売業者免許
- 服薬管理指導料1のイの届出
【1】については、30点に増え、実績要件も24⇒48回以上に増えております。また、服薬管理指導料1のイ(旧:かかりつけ薬剤師指導料) の届出が要件となりました。
注目すべきはその上位となる【2】です。今回の改定では大きくテコ入れされています。
まず点数が単一建物居住者の人数区分によって異なります。
在宅薬学総合体制加算2
イ 単一建物居住者が1人の場合 100点
ロ イ以外の場合 50点
単一建物居住者が1人の場合は100点に倍増されました。それ以外では従来の50点を維持となります。
点数が跳ね上がりましたが、要件についても厳しくなっています。
【2の施設基準】
次のア又はイを満たす
ア)①~②を全て満たす
①医療用麻薬の備蓄6品目以上(注射剤1品目以上を含む)
②無菌調剤設備を備えていること
イ)在宅の乳幼児加算、小児特定加算の実績が6回/年以上- 次のいずれかを満たす
ア)個人宅・緊急※の実績240回/年以上かつ全体※の2割を超える
イ)個人宅・緊急※の実績480回/年以上かつ全体※の1割を超える - 次のアからウのいずれかを満たす
ア)麻薬※の実績10回/年以上
イ)無菌調剤処理加算の実績1回/年以上
ウ)在宅の乳幼児加算、小児特定加算の実績が6回/年以上 23名以上の保険薬剤師が常勤換算で勤務、原則として開局時間は2名以上の保険薬剤師が保険薬局に常駐かかりつけの実績24回/年以上- 高度管理医療機器販売業の届出
- 1の施設基準を満たすこと
※個人宅・緊急:以下の合算
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料1 (単一建物診療患者1名)
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 居宅療養管理指導費 (単一建物居住者1人)
- 介護予防居宅療養管理指導費 (単一建物居住者1人)
※全体:以下の合算
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 居宅療養管理指導費 (単一建物居住者1人)
※麻薬:在宅患者訪問薬剤管理指導料・居宅療養管理指導費にかかる以下の合算
- 麻薬管理指導加算
- 在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算
まずは新たに単一建物診療 (居住) 患者が1人の場合の在宅患者訪問薬剤管理指導の算定回数と割合が要件に入ってきています。これは「効率の良い施設在宅ばかりではなく、手間や時間のかかる個人在宅をしっかりとみていってほしい」というメッセージですね。
また、個人の在宅だけでなく、緊急訪問の点数についても含まれていることがポイントですね!施設においても緊急性を要する場合があるため、そのような対応も評価されています。
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料については以下の記事を参考にしてください。
続いて実績要件として麻薬・無菌調剤・小児在宅が必要となっています。個人在宅の実績が240件/年以上ある薬局であればいずれかの要件を満たすことはそこまで難しいものではないという印象です。この中では麻薬10回/年が満たしやすいのではないでしょうか。
麻薬管理指導加算・在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算や無菌製剤処理加算については以下の記事を参考にしてください。
また、かかりつけの要件については削除されました。ただし、在宅薬学総合体制加算1の要件として服薬管理指導1のイ(旧:かかりつけ薬剤師指導料)の届出が必要となっており、加算2は加算1の要件を全て満たすことも要件となっているため、届出については必要です。
設基準について原文
1. 在宅薬学総合体制加算1の施設基準
(1)地方厚生(支)局長に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行っている保険薬局であること。
(2)直近1年間に、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行うものに限り、情報通信機器を用いて行うものを除く。)及び介護予防居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行うものに限り、情報通信機器を用いて行うものを除く。)についての算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いた場合の算定回数を除く。)の合計が計24 48回以上であること(在宅協力薬局として連携した場合(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)及び同等の業務を行った場合を含む。)。なお、「同等の業務」とは、区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料で規定される患者1人当たりの同一月内の算定回数の上限を超えて訪問薬剤管理指導業務を行った場合を含む。
(3)緊急時等の開局時間以外の時間における在宅業務に対応できる体制が整備されていること。緊急時等に対応できる体制の整備については、在宅協力薬局の保険薬剤師と連携して対応する方法を講じている場合も含むものである。
(4)地域の行政機関、保険医療機関、訪問看護ステーション及び福祉関係者等に対して、急変時等の開局時間外における在宅業務に対応できる体制に係る周知を自局及び同一グループで十分に対応すること。また、地域の行政機関又は薬剤師会等を通じて十分に行っていること。
(5)当該保険薬局において、在宅業務の質の向上のため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づき当該保険薬局で在宅業務に関わる保険薬剤師に対して在宅業務に関する研修を実施するとともに、定期的に在宅業務に関する外部の学術研修(地域の薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること。なお、当該学術研修については、認知症、緩和医療、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた意思決定支援等に関する事項が含まれていることが望ましい。併せて、当該保険薬局の保険薬剤師に対して、薬学等に関する団体・大学等による研修認定の取得、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等を行わせていることが望ましい。
(6)医療材料及び衛生材料を供給できる体制を有していること。また、患者に在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局に対し保険医療機関から衛生材料の提供を指示された場合は、原則として衛生材料を当該患者に供給すること。なお、当該衛生材料の費用は、当該保険医療機関に請求することとし、その価格は保険薬局の購入価格を踏まえ、保険医療機関と保険薬局との相互の合議に委ねるものとする。
(7)麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること。
(8)地方厚生(支)局長に対して、施設基準に適合するものとして、あらかじめ服薬管理指導料の「注1」に規定する服薬管理指導を行う旨の届出を行っていること。
2. 在宅薬学総合体制加算2の施設基準
(1)1の基準を満たすこと。
(2)次のいずれかを満たすこと。
ア 直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料の1、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料並びに単一建物居住者が1人の場合の居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。また、在宅協力薬局として連携した回数(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)及び同等の業務を行った回数を含む。)の合計が、計240回以上であり、かつ直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。)の合計に占める割合が2割を超えること。
イ 直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料の1、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料並びに単一建物居住者が1人の場合の居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。また、在宅協力薬局として連携した回数(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)及び同等の業務を行った回数を含む。)の合計が、計480回以上であり、かつ直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。)の合計に占める割合が1割を超えること。
(2 3)次のア又はイからウまでのいずれかを満たす保険薬局であること。
ア 以下の①から②までの要件を全て満たすこと。
① 医療用麻薬について、注射剤6品目以上を含む1品目以上を備蓄し、必要な薬剤交付及び指導を行うことができること。
② 無菌製剤処理を行うための無菌室、クリーンベンチ又は安全キャビネットを備えていること。
直近1年間における麻薬管理指導加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注3に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注2に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注2に規定する加算)、在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注4に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注3に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注3に規定する加算)、居宅療養管理指導費(薬剤師が行う場合)の注3及び注7に規定する加算及び介護予防居宅療養管理指導費(薬剤師が行う場合)の注3及び注7に規定する加算の算定回数の合計が10回以上であること。
イ 直近1年間における薬剤調製料の注2に規定する無菌製剤処理加算の算定回数が1回以上であること。
イ ウ 直近1年間に、おける乳幼児加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注5若しくは注6に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注4若しくは注5に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注4若しくは注5に規定する加算)及び小児特定加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注6に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注5に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注5に規定する加算)の算定回数の合計が6回以上であること。
(3 4)2常勤換算で3名以上の保険薬剤師が勤務し、ていること。また、原則として開局時間中は2名以上の保険薬剤師が保険薬局に常駐し、常態として調剤応需の及び在宅患者の急変等に対応可能な体制をとっていること。
(4)直近1年間に、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が24回以上であること。
(5)医薬品医療機器等法第 39 条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けていること。
疑義解釈
周知の方法、G-MISは?
問2 地域支援体制加算、連携強化加算及び在宅薬学総合体制加算の施設基準において、地域の行政機関又は薬剤師会等を通じて各加算の要件に示す情報を周知することとされているが、どのように周知すればよいのか。
(答)各加算の施設基準において求められる機能等について、地域の住民や行政機関、保険医療機関、訪問看護ステーション及び福祉関係者等が当該情報を把握しやすいよう、市町村や地区の単位で整理し、周知することが求められるため、保険薬局においては、当該薬局の所在地の地域でこれらの対応を実施することになる行政機関又は薬剤師会等と相談されたい。また、このような情報は定期的に更新されている必要があり、さらに、都道府県単位で集約して周知されていることがより望ましい。各加算に関して周知すべき情報としては、各加算の要件に基づき、例えば以下のようなものが考えられるが、これらに限らず地域にとって必要な情報を収集及び整理すること。
(略)
○在宅薬学総合体制加算
(当該加算で求めている周知すべき情報)
患者の急変時等の開局時間外における在宅業務に対応できる体制に係る情報
(具体的な項目例)
・ 開局時間外の在宅業務への対応の可否(対応可能な時間帯を含む。)
・ 医療用麻薬(注射薬を含む。)の取扱いに係る情報
・ 高度管理医療機器の取扱いの可否
・ 無菌製剤処理の対応の可否(自局での対応の可否を含む。)
・ 小児在宅(医療的ケア児等)の対応の可否
・ 医療材料・衛生材料の取扱いの可否
なお、既にこのような情報を地域で整理し、ホームページで公表しているものの、各加算で周知が求められる項目の一部が対応していない場合には、当面の間は、対応できていない情報を追加的にまとめた一覧を公表するなどの対応で情報を補完することでも差し支えない。
問3 問2における周知について、薬局機能情報提供制度による情報に含まれる情報については、当該制度の情報提供をもって周知を行ったものとみなしてよいか。
(答)不可。各施設基準において求める情報の周知については、薬局機能情報提供制度による網羅的な情報提供ではなく、地域における医薬品提供体制について、各加算の施設基準において求められる機能をわかりやすくまとめた形で情報提供を行うことが必要であり、また、休日、夜間対応については、地域で対応できる薬局の情報が随時更新される必要がある。
薬局機能情報提供システムでは不可となります。同様にG-MIS(医療機関等情報支援システム:Gathering Medical Information System)での掲載ではこの要件を満たさないということになります。
注意が必要です。
チェックリスト
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在
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在宅患者訪問薬剤管理指導届出 |
□ |
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在宅実績 48回/年以上 |
□ |
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開局時間外の対応体制 |
□ |
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多職種に対する開局時間外対応周知 |
□ |
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研修実施計画、研修実績 |
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医療・衛生材料 供給体制 |
□ |
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麻薬小売業免許 |
□ |
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服薬管理指導料1のイ |
□ |
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在 |
(1)在宅総合1の基準を満たす |
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(2) ア 個人宅・緊急 240回/以上 2割以上 |
□ |
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(2) イ 個人宅・緊急 480回/以上 1割以上 |
□ |
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(3) ア 麻薬管理指導、在宅患者医療用麻薬持続注射療法10回/年以上 |
□ |
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(3) イ 無菌製剤処理加算1回/年以上 |
□ |
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(3) ウ 乳幼児加算、小児特定加算6回/年以上 |
□ |
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(4) 3名以上の保険薬剤師勤務、常態で2名以上が調剤応需および在宅患者の急変等に対応可能 |
□ |
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(5) 高度管理医療機器販売業の許可 |
□ |
まとめ
今回の改定で非常にハードルの高い実績要件が必要となった在宅薬学総合体制加算2は在宅医療に積極的に取り組んでいる薬局の指標となったと考えます。
調剤報酬改定では薬局経営にとって厳しいものばかりですが、在宅医療は今後も伸びしろがあります。
今からでも在宅医療に力を入れていくことはどの薬局においても必要と考えますが、在宅特化薬局となるためには相応の覚悟が必要であるという改定でした。
まとめ資料以下に掲載しておきます。
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