令和6年度調剤報酬改定で新設された在宅移行初期管理料について解説します。
※施行は令和6年6月1日からです。
在宅訪問開始となる前に、残薬や退院時処方薬の確認、服薬管理方法の提案などを行うことが多いですが、これまでは特に算定するものはありませんでした。
それが算定できるようになります。
初回訪問時の服薬管理支援での取り組みが評価され、点数がつきました!
在宅移行初期管理料(1回のみ)230点
今回の改定では在宅医療に対しては嬉しい内容となっており、これもその1つになりますね。
他の改定項目については以下の記事を参考にしてください。
算定要件
- 在宅療養を予定している患者に対して訪問指導料の初回算定月にのみ算定可能
- 単一建物人数は「1人」の場合のみ
- 薬剤師が訪問して特に重点的な服薬支援を行う必要性があると判断
- 実施した内容を薬歴記載し、計画書作成、医師・ケアマネに報告
重要なところは「個人在宅」のみが対象となる点と「1回きりの算定」である点です。
初月に取り逃がしたら、2度と算定出来なさそうです。
また、有料老人ホームなどで単一建物居住者2~9人、10人以上の点数を算定する場合についても対象外となります。
ただし、施設の入居者であっても単一建物居住者1人の場合の点数を算定する場合もあるので、その際には「在宅移行初期管理料」は算定可能です。
施設人数の数え方や訪問指導料算定可能な施設については以下の記事を参考にしてください。
医師やケアマネに情報提供しますが、服薬情報等提供料との同時算定、外来服薬支援料1との同月算定は不可であることに注意が必要です。
対象患者
- 認知症患者、精神疾患患者など自己での服薬管理困難
- 18歳未満の障害児
- 6歳未満の小児
- 末期のがん患者
- 注射による麻薬の投与が必要な患者
対象患者は上記のように規定されています。
疾患や年齢により自己での服薬管理が困難な場合や、麻薬の管理が必要な場合には対象となるので、ほとんどの場合で適応されると考えられます。
ただし、薬歴には「特に重点的な服薬支援を行う必要性があると判断」という点についても記載する必要はありますね。
今後、薬歴の記載方法などについても追記していきます。
[算定要件]原文
(1)在宅での療養へ移行が予定されている通院が困難な患者であって、服薬管理に係る支援が必要なものに対して、当該患者の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の同意を得て、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等と連携して、在宅療養を開始するに当たり必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、当該患者において区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料(単一建物診療患者が1人の場合)その他厚生労働大臣が定める費用を算定した初回算定日の属する月に1回に限り算定する。
(2)在宅移行初期管理料は、以下のア及びイを満たす患者のうち、薬学的管理の観点から保険薬剤師が患家を訪問して特に重点的な服薬支援を行う必要性があると判断したものを対象とする。
ア 認知症患者、精神障害者である患者など自己による服薬管理が困難な患者、児童福祉法第 56 条の6第2項に規定する障害児である 18 歳未満の患者、6歳未満の乳幼児、末期のがん患者及び注射による麻薬の投与が必要な患者。
イ 在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(いずれも単一建物診療患者が1人の場合に限る。)に係る医師の指示のある患者。
(3)実施した薬学的管理及び指導の内容等について薬剤服用歴等に記載し、必要に応じて、薬学的管理指導計画書を作成・見直しすること。また、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の医師及び居宅介護支援事業者の介護支援専門員に対して必要な情報提供を文書で行うこと。なお、この場合の文書での情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。
(4)在宅移行初期管理料を算定した日には、区分番号14の2に掲げる外来服薬支援料1は算定できない。
(5)在宅移行初期管理に要した交通費は、患家の負担とする。
疑義解釈
問 11 地域支援体制加算の施設基準において、これまで患者宅で残薬の調整等を行った場合は外来服薬支援料1を算定することで、地域支援体制加算の実績要件に含めることができたが、在宅移行初期管理料を算定した場合に、外来服薬支援料1に相当する業務として地域支援体制加算の実績要件に含まれるような取扱いはできないのか。
(答)できない。在宅移行初期管理料は、地域支援体制加算の実績要件に含まれ
ない。
残念ながら在宅移行初期管理料は外来服薬支援料1の実績には含むことができません。
まとめ
今回の改定では在宅医療の取り組みが強く評価されました。
新設された項目は、これまで取り組んできた内容が評価されるようになったと捉えられます。
今回紹介した在宅移行初期管理料についても、これまで点数がないにも関わらずに在宅介入前に残薬の整理や服薬管理を行っていたことが評価されています。
在宅医療は今後も強く求められているということを感じ取れます。
算定できるようになった加算は、これから在宅医療に取り組む薬局にとっても、このようにすればいいんだという道標にもなるかと思います。
まとめ資料を以下に掲載しておきます。
ダウンロードして皆様の薬局でご活用ください。
これからも、在宅医療に取り組む薬剤師にとって有意義な情報を届けていこうと思います。
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