保険点数

【薬局の在宅訪問】同一建物居住者人数の考え方を知ろう!ケースごとに詳細解説

訪問指導料の算定では、同一建物居住者の人数によって点数が異なります。

しかしながら、その人数の数え方には特殊な例があることをご存知ですか?

今回の記事ではそんな例を詳しく解説します。

 

また、地域支援体制加算の要件としても個人在宅、つまり「単一建物居住者の1人」の実績が必要となります。

今回の記事を読むことで「単一建物居住者1人」となるケースについて理解することができるので、必見です。

以下に医療保険、介護保険それぞれについて点数の一覧を掲載しておきます。

  医療保険 介護保険
点数 単一の建物の居住者
1に対して行う場合
650点 517単位
単一の建物の居住者
29に対して行う場合
320点 378単位
単一の建物の居住者
10人以上に対して行う場合
290点 341単位

単一建物居住者が「1人」となる例

「単一建物」の患者・居住者の人数は同一日に実施した訪問薬剤管理指導の対象者数ではなく、当該建物に居住する同指導の対象者数により該当区分を判断します。

ケースごとにみていきましょう。

【Case1】一戸建て住宅で1人暮らし

まずは最も分かりやすいケースから。

一戸建て住宅で1人暮らしなので、当然「単一建物居住者1人」の点数650点 (517単位) となります。

【Case2】一戸建て住宅で夫婦2人暮らし

一戸建て住宅に夫婦で2人暮らしのケースで考えていきましょう。

この場合、1人に対して訪問薬剤管理指導を実施した場合は「単一建物居住者1人」となるのは分かりやすいと思います。

では、2人に対して訪問薬剤管理指導を実施した場合はどうなるでしょう?

 

 

答えは2人とも「単一建物居住者1人」となります。

特例として「1つの患家当該指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物居住数が1人の場合」を算定する。」と規定されています。

つまり一戸建て住宅で同一世帯であれば何人訪問薬剤管理指導を行ったとしても、全員が「単一建物居住者1人」の点数となります。

【Case3】有料老人ホームで対象患者1名

続いて有料老人ホーム、集合住宅について考えてみます。

有料老人ホーム (入所者数8名) であるが自薬局での訪問薬剤管理指導の対象患者は1人の場合はどうなるでしょう?

 

これも分かりやすいですね。

答えは「単一建物居住者1人」となります。

当該建物の居住者の人数ではなく、訪問薬剤管理指導の対象人数でしたね。

【Case4】集合住宅において医療保険・介護保険が1人ずつ

続けて集合住宅について、医療保険と介護保険が混在するケースについて考えてみます。

医療保険と介護保険については過去の記事を参考にしてください。

【薬局の在宅訪問】在宅患者訪問薬剤管理指導料と居宅療養管理指導費 -どっちを利用する?その違いは?-医療保険と介護保険を利用する際の要件や点数が異なることがあるため、薬局薬剤師が患者宅を訪問する際にはどちらを利用するかが重要です。 ...

集合住宅 (全6世帯) において別世帯の2人に対して訪問薬剤管理指導を実施、1人は医療保険であり、もう一人は介護保険利用している場合はどうなるでしょう?

 

答えはこれも「単一建物居住者1人」となります。

それぞれの保険における対象患者の人数で考えますので、それぞれ単一建物居住者1人となります。

【Case5】50室ある有料老人ホームにおいて対象患者5人

あまり知られていませんが、実はこのケースも「単一建物居住者1人」になります。

当該建築物において当該居宅療養管理指導事業所が居宅療養管理指導を行う利用者数が、当該建築物の戸数の 10%以下の場合又は当該建築物の戸数が 20 戸未満であって、当該居宅療養管理指導事業所が居宅療養管理指導を行う利用者が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物居住者が1人の場合」を算定する。

このように居宅療養管理指導費では規定されています。
(医療保険においても同様です)

したがって50部屋の有料老人ホームでは5人までは「単一建物居住者1人」の訪問指導料が算定出来ます。

 

そして20戸未満では2人までは「単一建物居住者1人」となります。

つまり、どのような施設であっても2人までは「単一建物居住者1人」です。

この制度を応用することで個人在宅の実績を増やすことができるかもしれません。

単一建物居住者2人以上

続いて単一建物居住者が2名以上となる場合について解説していきます。

施設の種類によって2~9人の点数になるか、10人以上の点数になるか変わってくるケースもあります。

【Case6】有料老人ホームにおける訪問

有料老人ホームにおける訪問薬剤管理指導 (全員介護保険) 対象者が17人
(1階:8人、2階:9人)

訪問は1階と2階でそれぞれ異なる週に訪問する場合はどの区分になるでしょう?

 

答えは「単一建物居住者10人以上」となります。

1回あたりの訪問人数ではなく、同月内の対象患者数となります。

【Case7】グループホームにおける訪問

前項と同じ条件でグループホームの場合はを考えてみます。

グループホームにおける訪問薬剤管理指導 (全員介護保険) 対象者が17人
(1階:8人、2階:9人)

訪問は1階と2階でそれぞれ異なる週に訪問する場合はどの区分になるでしょう?

 

この場合は「単一建物居住者29人」となります。

意外に感じる方も多いのではないでしょうか?

なぜそうなるのか以下に解説します。

まず、グループホーム (認知症対応型共同生活介護) は入居者やスタッフが他の利用者とコミュニケーションを取りやすくするために1ユニットの人数は2~9人と決められています。

そして訪問薬剤管理指導の特例として「ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、在宅患者訪問薬剤管理指導料 (居宅療養管理指導費) を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。」と規定されています。

つまりグループホームにおいてはユニットごとの人数となるので10人以上となることはありません。

したがって今回のケースでは全員が「単一建物居住者2~9人」の対象となります。

まとめ

今回の記事では単一建物居住者の人数について特殊な例を含めて解説しました。

特例があることを知っておくことで、適切な点数の算定につながりますね。

また、個人在宅の実績作りにおいても今回の内容を知っておくことは有用です。

まとめ資料を以下に掲載しておきます。

ダウンロードして皆様の薬局でご活用ください。

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