在宅医療において、特に褥瘡の処置のためドレッシング材が処方されることがあります。
ドレッシング材の種類によって処方箋による保険請求が可能かどうか異なってくるので、注意が必要です。
例を挙げると「デュオアクティブ®CGFはOKだけどETは処方不可」のように似たような商品名でも分かれています。
今回の記事では医療材料の中でも「ドレッシング材」に焦点をあてて薬局での保険請求上、注意すべき点について解説します。
ドレッシング材とは?
ドレッシング材は創傷被覆材のことであり、「創における湿潤環境形成を目的とした近代的な創傷被覆材」です。
近年では、傷が治るのに最適な湿潤環境を保持するために様々な特徴をもつ高機能なものが発売されています。
特に褥瘡治療の際には必須アイテムになります。
この記事では詳細な説明は行いませんが、ドレッシング材は特定保険医療材料であり、使用区分が以下のように分かれています。
▶真皮に至る創傷用:表皮損傷が真皮を超えない創傷に使える
▶皮下組織に至る創傷用:損傷が皮下組織までの創傷に使える
▶筋・骨に至る創傷用:筋・骨に至る創傷
(皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織の3つの層で構成されています)
後述しますが、処方箋での供給と保険請求可能なものは「皮下組織に至る創傷」に分類されることが条件となります。
医療機関のレセプトに必ず記載する必要があります。(処方箋には不要)
薬局でドレッシング材を供給するための条件
院外処方せんにより薬局でドレッシング材を保険請求するためには以下の条件を満たしていることが必要となります。
- 皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。)を有する患者
- 医師がいずれかの在宅療養指導管理料(C100-C121)を算定している患者
これらを満たしている場合にのみ請求することが出来ます。
皮下組織に至る創傷を有する患者
日本褥瘡学会学術教育委員会が開発した褥瘡状態判定スケールとしてDESIGN-R®が使われています。
DESIGNは、Depth(深さ)、Exudate(滲出液)、Size(大きさ)、Inflammation/Infection(炎症/感染)、Granulation(肉芽組織)、Necrotic tissue(壊死組織)、および末尾のPocket(ポケット)の7項目からなり、それぞれの頭文字をとっています。
「皮下組織に至る創傷」DESIGN-R® 分類で深さの項目であるD3、D4及びD5に該当する傷が対象となります。
(一般社団法人 日本褥瘡学会HP 褥瘡評価スケールDESIGN-R®)
また、保険請求可能なドレッシング材も「皮下組織に至る創傷」に適応のある商品に限られます。
適応に「皮下組織に至る創傷」が含まれているか必ず確認しましょう。
冒頭でも例を挙げましたが同じデュオアクティブであっても異なります。
医師がいずれかの在宅療養指導管理料を算定している患者
在宅療養指導管理料は以下のいずれかになります。
C002 在宅時医学総合管理料
C003 在宅がん医療総合診療料
C100 退院前在宅療養指導管理料
C102 在宅自己腹膜灌流指導管理料
C102-2 在宅血液透析指導管理料
C103 在宅酸素療法指導管理料
C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料
C105 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料
C106 在宅自己導尿指導管理料
C107 在宅人工呼吸指導管理料
C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料
C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料
C110 在宅自己疼痛管理指導管理料
C111 在宅肺高血圧症患者指導管理料
C112 在宅気管切開患者指導管理料
C114 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料
C116 在宅植込型補助人工心臓(非拍動流型)指導管理料
これらを算定している患者が対象となりますので、確認可能であれば、このような算定をしているか把握しておきましょう。
レセコン入力時の注意点
これは非常に重要な項目になります。
保険請求する際には以下の2点についてよく理解しておいてください。
- 枚数ではなく面積で入力する
- 面積はパッド部分のみを請求する
枚数ではなく面積で入力する
〇枚ではなく、〇〇㎠で入力
例えば、デュオアクティブ®CGFで考えてみます。
例えば10cm × 10cmの規格のものを2枚処方されたとします。
(全てがパッド面になります)
この際、レセコンでは「2枚」ではなく、「200㎠」として入力、請求します。
(設定等については各社レセコンメーカーに問い合わせください)
金額 (薬価) についても㎠単位で設定します。
面積はパッド部分のみを請求する
テープ部分を含まないパッドの部分のみが保険算定できる面積です。
パッド部分の周囲に粘着面がある商品もあり、その場合は粘着部分をはぶきます。
ハイドロサイト®ADプラスで考えてみます。
こちらは12.5cm × 12.5cmという規格がありますが、これの保険請求時の面積は100㎠となります。
それは、パット部の外側に粘着面のみの部分があるためです。
添付文書を確認すると【形状及び構造】という項目の中に「保険算定面積(㎠)」が記載されているので、この数値を1枚あたりの面積として算定してください。
(※ハイドロサイト®ADプラス添付文書より一部抜粋)
まとめ
今回の記事では医療材料の中でもドレッシング材についての院外処方についてまとめました。
医療材料は苦手とする薬剤師が多い分野ですので、参考になれば幸いです。
ドレッシング材を院外処方せんで供給する条件
- 皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。)を有する患者
- 医師がいずれかの在宅療養指導管理料(C100-C121)を算定している患者
レセコン入力するときの注意点
- 枚数ではなく面積で入力する
- 面積はパッド部分のみを請求する
まとめ資料を以下に掲載しておきます。
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