在宅の知識

2026年度(令和8年度)調剤報酬改定~薬局の在宅関連項目3つのポイント~

2026年度(令和8年度)は調剤報酬改定です!

今回の記事では、薬局の在宅関連項目についての改定項目を取り上げて解説します。

個人的な感想として、今回の改定では本気の在宅医療が推進される!!

厚生労働省は、第8次医療計画においてもターミナルケアへの参画や24時間対応が可能な薬局の整備を強く求めており、麻薬管理や無菌調製、小児在宅といった高度な薬学的管理に対応できる薬局を地域に確保することを喫緊と課題としています。

今回の改定において前回ほどのインパクトはありませんが、確実に本気の在宅を推進しようとする意志を感じます。

今回の記事では3つのポイントに分けて解説します。

薬局の在宅関連項目についての改定3つのポイント!

  1. 在宅薬学総合体制加算の抜本的見直し
  2. 在宅患者訪問薬剤管理指導料の要件緩和と新設
  3. 無菌製剤処理加算 (小児) の見直し

1. 在宅薬学総合体制加算の抜本的見直し

前回の改定で追加され、話題となった在宅薬学総合体制加算ですが、今回も見直しが入ります。

薬局を「場所(立地)や設備」で評価する段階から、「実際に動ける人員と実績」で評価する段階に舵を切ったと考えられます。

施設基準要件の新旧比較を見てみましょう。

表. 在宅薬学総合体制加算1の新旧比較

在宅患者訪問薬剤管理指導の届出

在宅患者訪問薬剤管理指導の届出

直近の在宅訪問算定実績48回以上

直近の在宅訪問算定実績24回以上

開局時間外でも緊急時の対応可能

開局時間外でも緊急時の対応可能

在宅医療に関する研修計画と実施 在宅医療に関する研修計画と実施
医療材料、衛生材料の供給体制 医療材料、衛生材料の供給体制
麻薬小売業者免許 麻薬小売業者免許
服薬管理指導料1のイ届出 (新)

加算1については2点変更があります。必要な実績が変更 (24⇒48回) され、服薬管理指導1のイ(旧:かかりつけ薬剤師指導料)の届出を行っていることが追加されました。

表. 在宅薬学総合体制加算2の新旧比較

次のア~ウいずれかを満たす

ア)麻薬管理指導加算・在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算 10回/年以上
イ)無菌製剤処理加算 1回/年以上
ウ)乳幼児加算・小児特定加算 6回/年以上

次のア又はイを満たす
ア)①~②を全て満たす
①医療用麻薬の備蓄6品目以上(注射剤1品目以上を含む)
②無菌調剤設備を備えていること
イ)在宅の乳幼児加算、小児特定加算の実績が6回/年以上

次のいずれかを満たすこと。
ア)個人在宅+緊急 240回以上、2割以上
イ)個人在宅+緊急 480回以上、1割以上

(新)

3名以上の保険薬剤師が在籍、開局時間は2名以上が常駐し調剤可能な体制

2名以上の保険薬剤師が在籍、開局時間は常時調剤可能な体制

削除 かかりつけの実績24回/年以上
高度管理医療機器販売業の届出 高度管理医療機器販売業の届出
1の施設基準を満たすこと 1の施設基準を満たすこと

 

在宅薬学総合体制加算2の要件変更

従来の「無菌調剤設備」といった設備基準が廃止され、代わりに「麻薬調剤・無菌製剤処理・小児在宅」の実績や、常勤換算3名以上の薬剤師配置などの人員体制が求められるようになりました。

次のアからウまでのいずれかを満たす保険薬局であること。
ア 直近1年間における麻薬管理指導加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注3に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注2に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注2に規定する加算)、在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注4に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注3に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注3に規定する加算)、居宅療養管理指導費(薬剤師が行う場合)の注3に規定する加算及び介護予防居宅療養管理指導費(薬剤師が行う場合)の注3に規定する加算の算定回数の合計が10回以上であること。

イ 直近1年間における薬剤調製料の注2に規定する無菌製剤処理加算の算定回数が1回以上であること。

ウ 直近1年間における乳幼児加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注5に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注4に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注4に規定する加算)及び小児特定加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料の注6に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注5に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注5に規定する加算)の算定回数の合計が6回以上であること。

実績はまとめると以下のようになります。

ア)麻薬管理指導加算・在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算 10回/年以上

イ)無菌製剤処理加算 1回/年以上

ウ)乳幼児加算・小児特定加算 6回/年以上

個人在宅をしっかりやっている薬局にとってはそこまで難しい実績ではありませんが、施設在宅メインだと難しいところも多そうですね。

要件変更について、従来の「在宅薬学総合体制加算2」では無菌室やクリーンベンチ等の設備があることが要件でしたが、これらの設備を届け出ている薬局のうち、約3分の2(65.5%)の薬局で直近1年間の無菌製剤処理加算の算定実績が全くないという実態が明らかになりました。このため、設備のみの評価から「実際の活動実績」を重視する体系への転換が求められました。

個人宅(単一建物1人)訪問の評価

施設への訪問だけでなく、「単一建物居住者が1人の場合」の訪問実績(緊急対応含む)が一定割合以上であることも要件に追加されます。

次のいずれかを満たすこと。
ア 直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料の1、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料並びに単一建物居住者が1人の場合の居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。また、在宅協力薬局として連携した回数(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)及び同等の業務を行った回数を含む。)の合計が、計240回以上であり、かつ直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。)の合計に占める割合が2割を超えること。

イ 直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料の1、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料並びに単一建物居住者が1人の場合の居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。また、在宅協力薬局として連携した回数(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)及び同等の業務を行った回数を含む。)の合計が、計480回以上であり、かつ直近1年間における在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いて行った場合の算定回数を除く。)の合計に占める割合が1割を超えること。

アは240回以上なのでひと月あたり20回、イは480回以上なのでひと月あたり40回となります。

個人在宅だけでなく緊急対応の指導料も含まれているところがポイントですね。施設が多くても緊急対応もしているところは手厚く評価されると考えられます。

厚生労働省の調査では、在宅対応を謳いながらも、実際には施設への集団訪問のみを行い、手間の増える「1人の場合の訪問」を全く行っていない薬局が一定数(約6%)存在することが判明しました。また、施設訪問を主とする薬局の損益率が相対的に高いというデータも示されています。

そのため、「実際に手間のかかる戸建て訪問を一定数・一定割合以上こなしているか」を基準に盛り込むことで、真に地域医療を面で支える薬局に評価を限定するという方針がとられました。

評価の細分化

訪問先の実態に合わせ、在宅薬学総合体制加算2において、「単一建物居住者が1人の場合」とそれ以外の場合の訪問薬剤指導時の評価を分ける。おそらく一人の場合より高くなると予想されます。

在宅薬学総合体制加算1 30点

在宅薬学総合体制加算2 

イ 単一建物診療患者が1人又は単一建物居住者が1人の場合 100点
ロ イ以外の場合 50点

患家を1軒ずつ回る手間や移動の負担を考慮し、単一建物居住者1人の場合(イ)ではより高い点数として100点が設定されるようになり、一方でそれ以外の場合(ロ)同一の建物で効率的に指導が行えることを踏まえ、単一建物居住者1人の場合よりも低い点数となりました。それでも従来の50点を維持していることでほっとしますね。

また加算1についても従来の15点から30点に引き上げになっています。必要な実績も2倍になっていますが、嬉しい改定ですね。

効率の良い施設訪問に偏るのではなく、地域で1人暮らしをしている高齢者などの自宅を支える薬局を正当に評価することが目的となっています。

人的体制の基準変更

在宅患者の急変や、医師との同時訪問など、機動的な対応がいつでも可能な体制を整えるためです

常勤換算で3名以上の保険薬剤師が勤務していること。また、原則として開局時間中は2名以上の保険薬剤師が保険薬局に常駐し、常態として調剤応需及び在宅患者の急変等に対応可能な体制をとっていること。

この施設基準要件変更の背景として厚生労働省の調査データにより、薬剤師数が少ない薬局には以下のような課題があることが明らかになったためです。

  • 対応能力の差: 薬剤師数が5名を超えるような規模の大きい薬局ほど、在宅医療や夜間・休日対応、小児・麻薬対応などの実績が高い傾向にある。
  • 1人薬剤師の限界: 薬剤師が1人しかいない薬局では、在宅訪問や夜間対応の実施割合が低く、また、その薬剤師が急病等で対応できなくなった場合に患者への継続的なフォローが途切れてしまうリスクがある。
  • 機能の担保: これまで加算2の要件だった「無菌調剤設備」があっても、実際に実績がない薬局が多かった反面、人員体制が充実している薬局ほど、高度な薬学的管理を実際に担っている実態があった。

複数の薬剤師がいることで、在宅医療において24時間365日、麻薬の調剤や無菌調製、小児在宅など、手間と専門性が求められる業務への確実な対応ができるようになり、さらに医師の訪問に同行してその場で処方提案を行うなど、人員に余裕があるからこそできる「対人業務」の質を向上させることが期待されます。

2. 在宅患者訪問薬剤管理指導料の要件緩和と新設

算定間隔の柔軟化

これまで月2回以上算定する場合に必要だった「算定日の間隔は6日以上あける」という制限が廃止され、「週1回を限度」として算定できるように緩和されました。(医療保険のみ)

在宅患者訪問薬剤管理指導料及び在宅患者オンライン薬剤管理指導料を合わせて月2回以上算定する場合(末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者及び中心静脈栄養法の対象患者に対するものを除く。)の算定回数は、
週1回を限度とする。末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者又は中心静脈栄養法の対象患者については、在宅患者オンライン薬剤管理指導料と合わせて週2回かつ月8回に限り算定できる。

これまでの制度では、月2回以上の訪問薬剤管理指導を行う場合、前回の算定から中6日以上の間隔をあける必要がありました。しかし、実際の在宅現場では、患者の都合や祝日の影響で訪問日を調整せざるを得ないケースが多く、この「6日ルール」が適切な薬学的管理の妨げになっていました。

患者の都合による調整: 例えば、本来は毎週月曜日に訪問していた患者から「来週の月曜日は都合が悪いので、1日早い日曜日に来てほしい」と頼まれた場合、前回の月曜日から数えると「中5日」になってしまい、薬剤師が実際に訪問して指導を行っても、報酬を算定できないという不利益が生じていた。

祝日や連休の影響: ゴールデンウィークや年末年始など、祝日が重なる期間に訪問スケジュールを平日にずらして調整すると、意図せず「中6日」を確保できなくなる。

急激な病状の変化: 在宅患者の増加に伴い、より柔軟で実効性のある訪問体制が求められる中、日数制限によって必要な時期に訪問しにくい。

今回の改定で「週1回を限度」という表現に改められたことで、週の枠組みの中で柔軟に訪問日を設定できるようになります。これにより、患者一人ひとりの生活リズムや体調変化、さらには薬局側の連休対応などに合わせた、よりスムーズで質の高い在宅医療の提供が可能になります。

ただし繰り返しになりますが、現時点では医療保険のみです。介護保険の居宅療養管理指導費については1年後の改定を待つことになります。

24時間対応体制の周知義務

初回の訪問指導時等に、薬剤師と連絡が取れる電話番号や緊急時の注意事項(在宅協力薬局を含む)を文書で患者に交付することが義務付けられました。

当該保険薬局又は在宅協力薬局との連携により、休日及び夜間を含む開局時間外であっても調剤及び訪問薬剤管理指導に対応できるよう、原則として初回の訪問薬剤管理指導時に(変更があった場合はその都度)、当該保険薬局の保険薬剤師と連絡がとれる連絡先電話番号及び緊急時の注意事項(在宅協力薬局との連携により、休日及び夜間を含む開局時間外に調剤及び訪問薬剤管理指導に対応できる体制を整備している保険薬局においては、在宅協力薬局の所在地、名称及び連絡先電話番号等を含む。)等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書(これらの事項が記載された薬袋を含む。)により交付すること。また、やむを得ない事由により、患者又はその家族等からの電話等による問い合わせに応じることができなかった場合は、速やかに折り返しの連絡を行うこと。

薬局が在宅業務や夜間対応を行う際、単に「体制がある」だけでなく、患者が迷わず連絡できるような具体的な案内が求められるようになります。

  • 訪問薬剤管理指導における文書交付: 在宅患者訪問薬剤管理指導料の改定により、原則として初回の訪問指導時に、薬剤師と連絡が取れる電話番号や緊急時の注意事項を文書(薬袋を含む)で患者に交付することが義務付けられます。
  • 在宅協力薬局の情報周知: 自局だけでなく、夜間・休日に連携して対応する「在宅協力薬局」がある場合は、その名称や連絡先も併せて文書に記載しなければなりません。
  • 地域への周知(施設基準): 在宅薬学総合体制加算や地域支援体制加算を算定する薬局は、地域の行政機関、医療機関、訪問看護ステーション、福祉関係者等に対し、開局時間外でも対応可能な体制であることを周知し続ける必要があります。

これまで在宅医から夜間や休日に「いつもの薬局に連絡がつかないので、代わりにお願いできますか?」という連絡があった在宅薬局に多かったと思います。厚生労働省の調査でも、訪問薬剤管理指導を行っているはずの薬局に「夜間や休日に連絡がつかない」という事例が約2割あったことが報告されています。

今回の改定は、こうした「連絡がつかない不安」を解消し、患者がいつでも安心して医療・介護を受けられる体制を実効性のあるものにすることを目的としています。

「複数名薬剤管理指導訪問料」の新設

精神疾患患者など、薬剤師1名での訪問が困難なケースにおいて、他の職員と複数名で訪問した場合の評価が新設。

複数名薬剤管理指導訪問料 300点

別途、記事にて紹介します。

「訪問薬剤管理医師同時指導料」の新設

医師と薬剤師が同時に患家を訪問し、共同で指導・管理を行った場合の評価が新設。

訪問薬剤管理医師同時指導料 150点

別途、記事にて紹介します。

3. 無菌製剤処理加算 (小児) の見直し

無菌製剤処理加算の対象拡大

これまで、無菌製剤処理加算において高い点数が設定されていた「小児の加算」の対象は「6歳未満の乳幼児」に限定されていました。今回の改定では、これが「15歳未満の小児」全体へと拡大されます。

【無菌製剤処理加算】

[算定要件]
注2 5の注射薬について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、中心静脈栄養法用輸液、抗悪性腫瘍剤又は麻薬につき無菌製剤処理を行った場合は、無菌製剤処理加算として、1日につきそれぞれ69点、79点又は69点(15歳未満の小児の場合にあっては、1日につきそれぞれ237点、147点又は137点)をそれぞれ所定点数に加算する。

医薬品の添付文書では、一般的に「小児」を15歳未満と定義しています。実際、6歳以上の小児であっても、成人と異なり体重ごとに細かな投与量の調整(無菌調製)が必要である実情を踏まえ、実態に即した評価を行うこととされました。

これにより、自宅で高度な栄養管理を必要とする小児患者への、より安全で質の高い薬剤供給体制が推進されることが期待されます。

まとめ

今回の改定では「場所や設備(対物)」の評価から、「実際の活動実績と専門的な人員体制(対人)」の評価へと大きくシフトされています。

2040年を見据え、単に薬を届けるだけでなく、高度な薬学的管理多職種連携を通じて在宅医療の質を底上げすることが目指されています。

いわゆる「お届け屋さん」的な在宅から、「地域医療を支える専門的な拠点」への脱却を求める厳しいものではありつつ、期待の大きい内容だと感じています。

薬剤師として地域を支えていきましょう!!

今後も在宅医療に取り組む薬剤師にとって有意義な情報を届けていこうと思います。

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薬局薬剤師 緩和薬物療法認定薬剤師やプライマリ・ケア認定薬剤師などの認定を取得 10年以上在宅医療に携わって、教育や採用を担当 趣味は家族でのキャンプやロードバイク